意識の変化を起こす

 新井氏は79歳の今も一線で活躍しています。
 「生存権裁判」の東京訴訟弁護団長。

 「生活保護の老齢加算廃止は、憲法25条違反だ」と加算の復活を求めています。

 新井氏は「国民の生活現場にこそ真実がある」と力説します。

 朝日訴訟では、日本患者連盟が全国で結核入院患者を大規模に調査し、生活実態を明らかにしました。

 現場を知る専門家や学者が「特別弁護団」をつくって証言しました。

 法廷外の運動で世論をつくることも重要と新井氏は指摘します。
 労働組合や各界各層で作る団体が、自らの要求として活動を広げ、国民に憲法について考えてもらう意識の変化を起こしました。

 それが政府の生活保護行政を大きく動かしてきました。
 
25条は「理想」ではなく
課された国の責任であり
国民の「明確な権利」

 新井氏は違憲判決を出した裁判官達の人間性と勇気をたたえます。
 朝日訴訟一審判決は「われわれの認識を超えた判断をしてくれた」といいます。同判決は重要な判断を示しました。

 同判決は憲法25条が単なる「理想」ではなく国民の明確な権利だと認めました。

 「もし国が生存権の実現に障害となる行為をとるとき、その行為は無効」としました。

憲法理念は財政事情に
左右されてはならない

▼憲法25条に由来する生活保護法の言う
「健康で文化的な生活水準」には客観性があり、その水準は最低所得層の存在に規定されるものではない

▼同水準は国の財政事情に左右されてはならず、むしろ予算の配分を「指導支配すべき」としました。

 これらの判断から当時の生活保護基準は憲法25条の理念に反すると、結論付けました。

起案原稿大事に保管

 小中信幸氏は、朝日判決の起案原稿だけは50年間、大事に保管してきました。違憲判決に関わる裁判官はそういないため、「後世に残したかったから」です。

 今年6月粉貸しは講演をしました。
 「訴訟は二審で原告敗訴、最高裁で却下されました。
  しかし、一審判決の1年後、長期入院患者の生活扶助費の金額が朝日さんが主張していた月1,000円以上に引き上げられ、その後も一時期、保護基準が顕著に改善されていきました」

 小中氏は
 「生存権裁判」にふれ、「担当する裁判官が、憲法25条の理念と生活保護法の趣旨に従って、的確な判断をされることを切に希望したい」と語りました。

 その会場で起案原稿をNPO法人朝日訴訟の会に貴重な資料として手渡しました。

赤旗日刊紙要約
10年10月17日号

◆すさまじい頑張り
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