制限酵素でのDNA切断やDNAligaseとの結合、DNApolumerase・RNApolymeraseでの伸長反応を正確に抑えておきたい。
 生物・化学両方の出題に関係する。今号は設問ではなく解説だけをするのでしっかり理解してほしい。












★鎖の方向(5´→3´方向)

DNAの二重らせん(二本鎖)は、下枠に表記したdeoxyriboseのリン酸への結合箇所が「5´」炭素なのか「3´」炭素で考え、「5´→3´」方向を
DNA(あるいは類似構造のRNA)の方向とみなす。
 なぜならば、DNA・RNAの伸長反応はこの方向におき、3´末端側に次のヌクレオチドが結合してくる。
 この鎖の方向はdeoxyribose(RNAの場合はribose)の五角形を書いた時に酸素原子(O)がある側が5´とわかる。
 野球のホームベースの形とみなすと、ピッチャー側を向いているとんがった側が5´側である。

 二本鎖は「5´→3´」方向が逆向きになっている。DNAどうしだけでなく、DNAとRNAが結合する時も必ずこの原理(逆平行、anitiparallel)に従う。この原理の理解はあいまいな人はバックナンバー219を見返してください。
図的には「ホームベース(五角形)」の向きが逆になっていることで確認できますね。

★中央に相補的塩基対、また背骨のリン酸が電離してOの部分が電離してO−と−に電離していることも確認してください。

★制限酵素での切断箇所・DNAligaseでの連結箇所
 3´側の直下で切断し、5´側にリン酸が付着した状態で残ります。このことは明日朝のメルマガの解説につながっていくのでしっかり押さえておいてください。
 切断面は

C(3´)と
リン酸ーC(5´)

になります。
 DNAligaseでの連結箇所は、この制限酵素での切断箇所と同じです。


★DNA鎖の伸長反応
 3´末端側のOHの所に、次の相補的塩基を持った
ヌクレオシド3リン酸が
接近してきます。
糖がdeoxyriboseであるため、略号では小文字のdを付記した上で

表記します。

アデニン・チミン・グアニン・シトシンを含む
ヌクレオシド三リン酸は

デオキシリボアデノシン三リン酸(dATP)
デオキシリボチミジン三リン酸(dTTP)
デオキシリボグアノシン三リン酸(dGTP)
デオキシリボシチジン三リン酸(dCTP)
と呼び、総称してdNTPと呼びます。
(バックナンバー217「PCR法」参照)

RNA伸長の場合は糖がリボースなのでdはつけずに
ATP・UTP(チミンでなくウラシル)・GTP・CTPが原料です。

ヌクレオチドに取り込まれるリン酸は1つなので、反応の際、二リン酸(pyrohoaphate)がはずれます。