これまでの河川工学では川を物理的な流下の観点からのみ定義してきたが、「地球における物質循環の重要な担い手であるとともに、人間にとって身近な自然で、恵と災害という矛盾の中に、ゆっくりと時間をかけて、地域文化を育んできた存在」と定義すべき
・沖積平野は洪水が溢れてできた所で、人にとって飲料水が得やすく、耕作がしやすく、交通に便利であるが、時々洪水氾濫がある。川は矛盾するもの。だから文化が生まれる。
・川を完全に管理するのは正しくない。10年に一度程度の氾濫は許容し、受け止めるしくみのほうを流域に作るべきである。床上浸水はふせぐが、床下浸水は許すぐらいの許容度が必要。ヨーロッパ市民はその許容度を持っているが、日本人は失ってしまった。防水林や水田をうまく配置し洪水を受け止めれば、その程度に洪水をふせぐことは可能。
・ダムで自然河川は寸断され、鮭など回遊魚は遡れず、ダム堆積物は腐敗し有毒物質を出し続け、ダム自体も廃棄物として残される。
・時々の洪水は許容し、流域に雪国で雪対策のためやるような高床式住居(1階は車庫など)への改造補助金を出すほうがが安上がりである。
・これまで、建設省方針と異なり建設利権に結びつかない私の意見は通らなかったが、長野で田中康夫氏が土建政治に勝ち認められてきた。
・学問には真理探求型と関係性探求型がある。私の分野は治水と環境との関係をどこで調整するかという関係性探求型である。このような学問もあることを若い皆さんも知ってほしい。